「パニック障害」と戦った私

今から約10年前、松原で葬儀の準備をしている時にはじめて「パニック障害」と診断されました。

「しかしどう治療すればいいんだろう・・・内科的に異常がないのに病気?」

私の疑問に対して、医師はこう説明してくれました。

「パニック障害は『脳の誤作動』で起こる、『心の病』です。あまり公にされていないだけで、この病気にかかっている人はいっぱいいますよ」

「心の病・・・」

そういえば、私はパニック障害と診断される前、猛烈に仕事に打ち込む「仕事人間」で、毎日残業続きの、過度のプレッシャーにさらされていました。

疲れているのに、なぜか眠れない日々が続いていました。

「脳の誤作動」というくらいだから、「脳の働きを正常にする」ことが必要なのだろうかと思いましたが、医師の返答も概ねそのような感じでした。

治療に際しては、まずは向精神薬を処方されました。正直、それまで薬嫌いで、

風邪をひいたときでも薬を飲みたがらなかった私でしたが、この恐ろしい症状が悪化することを思えば、きちんと服薬治療することが必要だと考えました。

薬は、毎日決まった時間に服薬する「常用薬」と、発作が起きたときにのみ服薬する「頓服薬」を処方してもらえました。

「常用薬」は、飲んだ当初は効果があるのかないのかよくわかりませんでしたが1か月くらいで、なんとなく「不安」が減ってきた気がしてきました。

また、医師から、「思い切って、電車に乗ることも大事です。最初は近距離でいいので」と言われ、本当に一駅だけ乗ってみることにしました。

一駅でも、「あの不安」が出てきました。しかし、なんとかやり過ごせました。

二駅・・・「あっ・・・」と思う間もなく、発作は襲ってきました。

しかし、そのとき処方された「頓服薬」を飲むと、そのうち発作は落ち着いてきました。これを何度も繰り返し、少しずつ電車に乗る訓練をしました。

服薬はおよそ2年くらいでしたでしょうか。私は、「パニック障害」の発作からも解放され、「また起きるかもしれない」という「不安」もどこかに置いてきたように、忘れていました。

今でも、不安はゼロではないですが、お守り代わりに「頓服薬」を持ち歩いています。